6日目 その2
続いては土佐備長炭窯元「炭玄」さんにお邪魔しました。
ここには最近帰省する度にお邪魔と言うより単に邪魔しに来てます。
最初はSNSで室戸で勇ましい若者達がなんか面白そうな事やってるなぁと知り、
直接アポを取って是非窯を見学させてもらいたいとお願いしたのですが、全く面識の無かった僕をとても気持ちよく迎え入れてくれたのでした。
代表の黒岩君です。
ここ室戸市吉良川町は昔から備長炭の一大生産地として名を馳せてましたが
炭の需要の減少や中国産の台頭により窯も相当数減少してしまいました。
残ってる生産者も高齢化し消滅を待つばかりだったようです。
また高知県全般に言えることですが(と言うより全国地方全般かもしれませんが)
地元に居たくても仕事が無いという問題を抱えています。
特に高知出身者は高知が大好きな人が多いのですが、ほとんどの人から「帰っても仕事がないきねぇ」という言葉が出て来ます。
黒岩君は仕事が無いなら自分で作ろうと模索してる際、中国産の炭の輸出入に規制がかかった事を知り、国産の炭の需要が増えてくるだろうと一念発起し今まで全く縁の無かった炭窯に飛び込みで弟子入りしたそうです。
見るからにわかりますが(笑)体力には相当の自信のあった黒岩君も想像以上の
過酷さに当初はかなりしんどい思いをしたそうです。
当時は「なんで今更炭焼きや?」と言われたらしいですが、先見の明があったのでしょう国内産の需要は増え修行後独立した黒岩君のところには県内外から複数の弟子が入り独立をし、窯の数も増えて来ています。
うちの店の近所で働いていたという人もいてびっくりしました。
昨日訪問した近藤君も炭玄から巣立ちました。
炭を使った新しい商品の開発にも余念が無く、地域イベントにも積極的に参加して
炭作りだけでなく雇用を増やし地域の活性化にも尽力する黒岩君は室戸だけではなく高知県内でもなかなかの有名人となっています。
こちらは先日発売された備長炭入り塩です。
炭はデトックス効果があると言われてますので身体に良さそうです。
白い皿に散らして飾り塩として使うのも面白そうですね。
この窯で原料であるウバメガシを炭化させます。
火の炊き方で出来映えが違ってくるので経験がモノを言う職人仕事ですね。
窯の上部は亀の甲羅のようなドーム型になっており、この形状で熱の対流が変わってくるので窯作りも経験値がモノを言う重要な仕事ですね。
豪快かつ繊細な作業です。
上2枚の写真は今年の正月に初窯出しを体験させてもらった時のですが、冬でももの凄い熱量なので真夏は相当しんどいでしょうね。
室戸は備長炭の原料であるウバメガシが群生している地域ではありますが
当然限りある資源ですので炭玄は循環型を目指し植林等次世代にも繋げる
活動や間伐材を利用した商品にも着手しています。
山は手を入れないと死んでしまいますからね。
今後も炭玄の活躍には目が離せませんね。
備長炭は紀州、土佐、日向と3大有名産地がありますが
この数日後土佐備長炭が51年ぶりに生産量日本一に返り咲いたという
嬉しいニュースが飛び込んで来ました!
炭玄を筆頭に高知の炭窯には今後もがんばって欲しいですね。
安い炭と違って上質な備長炭で焼くと香りが違いますね。
是非「高知の日」でお試しください。
黒岩君また邪魔しに行きます。
次は杯を交わしながらゆっくり話したいですね。
その3に続く